【NEW】[R 18] 無題

(2022 / 6 / 19 Passion! VIRTU@L STAGE!4 新作)




アスランの左腕がシーツを泳ぐ。波紋が広がるベッドはまるで水面のようだ。

俺は彼のモノから口を離し、代わりに右手を添えてゆっくりと撫でた。

「アスラン、気持ちいい?」

「……………無論…だ…………」

「ふふ、嬉しいな…」

おそらく表情を知られないようにと右手を顔に当てるアスランだが、その隙間から除き見える瞼は彼の本心が漏れ出ていた。

俺から与えられる刺激に集中するために、しっとりと目を閉じ快楽を探す瞳。その期待に応えるべく、少しだけ握る手に力を込める。熱く硬い彼をこうして感じることができるのは、後にも先にも俺だけだと自惚れていいだろうか。

母指球を裏筋に当て、表側の返しの部分を三本指でかすめるように上下させる。腕の動きを早めると、次第にアスランの吐息が荒くなっていく。彼を高みに導かせるこの一時が実はこっそりお気に入りなのだと、アスランには言えない。

「カミヤ…だめだ……もう……」

「いいよ、アスラン」

耳元で許諾の言葉を吐くと、彼のモノが一層硬くなり、アスランの足の指に力が入る。

「カミヤ…だめ……カミヤ………カミッ…ヤァ…!」

少しだけ腰が浮いたのと同時に、彼の精子は勢いよく吐き出された。白濁は腹の上から下腹部へ、徐々に勢いを落としながら数回に渡り飛んでいく。その度に反り返ったそれは俺の手の中でびくびくと動き、最後はとろりとした精液を指に零して果てた。

アスランはもう顔を隠す余裕さえないようで、汗のみをまとって力なく横たわる。大きく上下する胸が消費カロリーの多さを物語っている。左目が、胸元が、腹部が、下半身が…普段頑なに晒すことを拒む彼のすべてが無防備にさらけ出されている。色っぽいその姿に俺の下半身が痛いくらい熱を持っていた。俺は側に置いたティッシュで彼のお腹を拭き取りつつ、指にかかった精子を彼の後孔に塗りつけた。

「…ッ カミヤ、まて」

「待てない、アスラン 君もだろ?」

円を描くようにキワを押すとふわふわとした入り口が指を飲みこんでいく。入りかけた指に潤滑剤を垂らし、更にゆっくりと奥へ。熱い彼の中を広げるように出し入れすると、アスランはシーツを掴みつつ下半身の力を抜いた。

「いい子だ、準備は良さそうだね」

ほんの少し腰を浮かせた彼の下に枕を差し込みながら、俺のモノに素早くゴムと潤滑剤をつける。(特技の早着替えがここで役に立つとは)

薄い膜に覆われた俺をアスランの入り口にあてがうと、彼は恥ずかしそうに目を伏せて体の力を抜いた。

「…っっ!……はぁっ………」

吐いて、吸って。形容し難いであろう異物感にアスランが深呼吸をする。それに吸い込まれるように俺も深くアスランの中に入っていく。みちみちの肉壁が俺を圧迫している。ただひたすらに熱くて、気持ちよくて。ジワジワとした痺れが下半身を中心に全身を渡っていく。

「アスランっ…」

声をかけると応える代わりにきゅっと中が動いた。そのままゆっくりと腰を引き、再度押し付ける。一つの動作をするごとに俺の頭の中の理性回路がおかしくなりそうだ。まるで正常を保つための電線をひとつずつ切断されるように、快楽が俺の脳をショートさせてくる。

愛しい恋人は俺の下で必死に顔を覆い唇を噛み締めている。奥に当たるタイミングで隙間から荒く息を漏らすその仕草は、快楽に溺れる自分を知られたくないプライドの現れだろう。そんなプライド、今更なのにな。俺は彼の重なる腕をどけ、シーツの上に押し付けた。

「やだっカミヤ…」

「口唇、噛んじゃだめだよ」

口唇を重ねると、あれほど固く結んでいた唇がふわりと溶けていく。口では拒みながらも彼は俺に従順で素直だ。下の中と勝るとも劣らない熱を持った口内は甘い唾液でいっぱいで、俺は夢中で彼を貪った。上も、下も、彼の体内を自分のむき出しになった内臓で抉っているという事実が俺を更に昂ぶらせる。俺の口の中ではアスランの声にならない喘ぎが行場を失っていた。

「っはぁ…アスラン、かわいい…」

「や……見ないで……」

彼の両腕を頭上で束ね、自由になった片腕で硬さを取り戻している彼のものを扱く。先程あんなに出したのに、彼の精巣は元気に使命を果たそうと働いているようだ。

「もう一回出すか?それとも一緒にいきたい?」

腰の動きは止めないで見下ろし尋ねると、逃げ続けていた彼の目がようやく俺を捉え、切なそうに揺れた。

「一緒…に…」

ぞくりと下半身に痺れが走る。組み敷かれながらも俺を見下ろすかのように鋭利な視線と、力無く開かれた唇から覗く舌で、俺は熱に浮かされる。危ない危ない、と俺は下半身に力を入れて冷静さを取り戻す。気を抜くとすぐに達してしまいそうになるほど、彼の全てが刺激的で。自分としては決して早い方ではないと思っているが、彼との行為に及ぶと、まるで知識を入れたての男子のようにすぐにも達したくなる気持ちと闘うばかり。

「アッ…!」

意識的に、深く、抉るように腰を押し付ける。彼が一際好きなところだ。締め付けるような内壁の動きに応えるようにそのままスピードを早めていくと、まるで決壊した防壁から水が流れ出るかのように部屋に嬌声が響いた。

「んぁっあっあっカミヤァっ」

ホロリと流れる涙に口づけをして、俺は彼の耳元に唇を寄せた。打ち付ける腰とは裏腹に、なるべく優しく、静かに、低い声で囁く。

「アスラン…名前で呼んで」

「あっあっカっカミヤ…」

「そうじゃなくて…俺の…苗字じゃない…名前で」

想像以上に冷静な声が出せたことに、我ながら感動を覚えた。今までいくつか映画やドラマの仕事をこなしてきたのも、この時のためだったのかもしれないな、と思うほどの渾身の芝居。本当は気持ちよくて、叫びたくて、すぐに達したくてたまらないけれど。俺より長く時を生きているアスランが、恥ずかしがるところをもっと見たい…という一心で、俺は下半身にもう少しだけお預けをした。流石に少し腰を止めることにはなったが。

アスランは俺を見上げて一瞬何かを考えているようだった。もしかしたら俺の言葉の意味を理解するのに時間がかかったのかもしれない。彼はワンテンポ遅れて既に赤くしていた顔をさらに赤く染めた。

「ユ………ユキヒロ………」

その途端ドキンと心臓が痛み、そのまま内臓を経由して股の太い血管に流れ込むような感覚が襲う。俺は今まで感じたことのない気持ちよさと心のざわめきに、もう耐えられないという下半身の降伏を感じていた。

「ぅわ……アスランもっと呼んで…っ」

「何言って…あっ あっ ユキッ ユキヒロ…ユキヒロ…!」

さっきまでの俺を作る余裕はもうない。夢中で彼の中を擦り上げると、彼も全ての理性を手放して声を上げた。体のどこに力が入っているのかもわからず、無我夢中でアスランを貪る。彼が呼ぶ俺の名前が、脳を痺れさせてくる。快楽の波が津波となり、パンパンに膨らんだ風船が俺の中で割れる。

「アスラン…出すよっ…アスラン…!」

「あっあっあああっ!!」


俺の脳髄は、俺の尿道を通りアスランの中を経由して、アスランの陰茎から白い液体となって出ていった。と言っても過言ではないような感覚で、俺たちは同時に果てた。実際は精子がゴムの中に出ただけなのだが、脳みそが空っぽになったのではないか、と思うほどの快楽で、俺はしばらくアスランの上から動くことができなかった。

2人の荒い息だけが響く寝室。ここでやっと、お互いの体がじっとり濡れていることに気づいたが、夢から覚めたばかりの微睡の中のような感覚で力を入れることができない。

「ア、アスラン、ごめんね、無理をさせてしまった」

精神的にも肉体的にも割と理性を飛ばしていた自分を思い出し、反省の思いでアスランに声をかける。ほんの数分前のことなのにひどく遠い昔のような気もしている。アスランはぜいぜい深呼吸を繰り返しながら、大丈夫だ、と呟いた。

と思ったら。

「さ、サタン!!!」

アスランが素っ裸で部屋を駆け出ていく。そういえば…サタンを脱衣所に置いてきぼりにしてしまっていたな。1時間ほど前になるのか、2人で入浴しようと服を脱ぎかけたところで、なんだかそういう雰囲気になってしまい…お互い急足でベッドまで来て、今に至ったのだった。

「わっ忘れていたわけではないぞ…!」

遠くからアスランの叫び声が聞こえる。やれやれ、俺もサタンに謝らなくては。そしてそのままみんなで入浴を済ませてしまおう。

俺はゴムをティッシュに包みながら、このムードも何もない事後に小さく声を上げて笑った。


アスランとの生活の、こういうところが、俺は好きだ。



ぽよ屋

ぽよ屋の二次創作物置き場。 現在置いてあるもの:神アス